二足の草鞋 価値観に沿った生き方を引き出すスペシャリスト

ピュアでごめんなさい

新企画のピュアでごめんなさい
ピュアな想いや考えを持っている方をご紹介してペイフォワードしていく企画です。

株式会社ミライユの伊賀です。
今回ご登場いただくのは、株式会社Grow Side代表取締役野々村翔様(以下野々村さん)です。野々村さんに今までの人生について、会社の未来、在り方や夢についてお聞きしていきたいと思います!本日はよろしくお願いします。

野々村さんーよろしくお願いします

ーはじめに、野々村さんについてエピソードなど交えて教えてください

野々村さんー今、手掛けている事業は就労移行支援とコーチング事業の二軸になります。メインで行っているのは、障がいを持っている方にむけた就労サポートです。コーチング事業では、障がいを持っている方のご家族を始めとして、実際に障がい者雇用を行っている企業さんの悩み相談・キャリア構築などを行っています。そういったことをしていく中で、生き方に関して悩みを持っている多くの方々のサポートをしていきたいと思っています。

ー「生き方の悩み解決」を事業軸にしたいと考えたきっかけはありますか?

野々村さんーこのような考えを持ち始めたきっかけは、私の生い立ちが大きく関係しています。私は寺の長男として生まれまして、物心ついた頃からいずれ寺を継ぐ跡取りとして周りから見られていました。小さい頃から、周りの大人達に「いつか寺を継ぐんでしょ?」と聞かれることも多かったんですが、その当時はまだ子どもだったので、素直に「うん!継ぐよ」と答えていました。そう答えると周りがすごく喜んでくれたので、「喜んでくれて嬉しいな」という気持ちでいたことを覚えています。

ですが、中学生になって憲法に関する授業を受けたある日、全ての人には「職業選択の自由」があることを知りました。だけど、いずれ寺を継ぐ道が用意されている自分には職業選択の自由なんてない。そんなことを思うようになって、苛立ちを抑えられない日々を送るようになりました。その時は家庭環境もあまり良くなかったので、苛立ちは日々消えることなく増すばかりで、とにかく自由でありたいという思いを抱えていました。

周囲には暴走族になる友人もいましたが、暴走族は上下関係がすごいので実際は自由がなくて縛られることが多いんです。なので、仲の良い友達と自由気ままに過ごすような思春期を送っていました。

そんな時に音楽に出会い、音楽に秘められた自由さに心を奪われてバンドを始めました。音楽をする中で、ただ感情に任せて自由に振る舞うだけでは満たされなかった心が、軸を持ったうえで自由に自己表現することで自分が満たされることを発見したんです。

ーなぜ就労支援事業をやろうと思ったんですか?

野々村さんー前職で小売業の店長をしていて、アルバイトの採用にも携わっていました。店舗の近くに特別支援学校があって、毎年うちの店舗に体験実習の依頼があり生徒さんが来てくれていました。生徒の皆さんはたしかに仕事を覚えるまで時間はかかることもありましたし、教え方も工夫しなきゃいけなかったんですけど、一度覚えたらすごく丁寧に仕事をこなしてくれたんです。

その経験から、たとえ障がいがある方でも十分に活躍できるチャンスはあって、もっとチャンスを掴める場をつくりたいという気持ちが自分の中に生まれました。当時から少子高齢化や働き方の多様性などの影響からアルバイトの人材を集めることが難しくなってきていたので、会社としても人材採用の在り方を変えていきたいという考えを持ち始めていました。

そんな中で、障がい者雇用をサポートするための特例子会社の社内公募がかかりました。まさに自分の考えをカタチにできるチャンスが舞い降りてきた!と思ったことを今でも覚えています。迷わず社内公募へチャレンジすることを決意し、社内で70人くらい応募ある中で採用してもらうことができ、例子会社へ異動することになりました。

ー70応募ある中で選ばれたのはすごいですね!子会社ではどのようなことをされたんですか?

野々村さんー子会社では、各地域の店舗それぞれで障がい者雇用の推進を行いました。そこで障がい者雇用のサポートを行うために、社内で障がい者雇用をサポートするためにジョブコーチという専門職へ就きました。ジョブコーチは求職者の採用~定着まで一括でサポートするためのポジションとして、障がい者雇用において絶対に居なくてはならない重要なポジションです。

私以外にもジョブコーチになった社員がいたんですが、結果的に全国で200人以上の採用を実現することができました。入社後の定着率も90%と非常に良くて、ジョブコーチとしての支援の質の高さは間違いなく自信が持てるものだと感じました。

ー子会社への異動後もすごく順調だったんですね!この成功体験が就労移行支援事業を立ち上げるきっかけとなったんですか?

野々村さんーそうですね。ある日、ジョブコーチである同僚達と話している中で「もっと事業を大きくしていきたくない?」という話になったんです。それまでの経験を通して、自分達には人材採用・育成ノウハウが十分に蓄積できたという自信がありました。

雇用をワンストップでサポートするためのプロフェッショナルが集う場をつくり、障がい者雇用をもっと広げていきたい。そのような思いから就労移行支援事業を立ち上げ、私がその責任者として事業所の運営に携わることになりました。

だけど、就労移行支援事業はグループ会社の中でもメインの事業ではなかったので、やりたいことがどうしても限られてしまいました。やりたいことのアイディアがどんどん頭に浮かんでくるタイプなので、理想と現実のギャップを感じ始めましたね。アイディアをカタチにするために親会社へ何度かプレゼンも試みたんですけど、アイディアはなかなか通らなかったんです。

理想と現実のギャップがなかなか埋められないことに悩むと同時に、「決められた枠組みに収まらず、もっと自由に働けないかな?」と思い始めるようになりました。正直、自分は自由でありたい、のびのびとチャレンジしたいという気持ちが強かったので、周りを引っ張っていくリーダー的ポジションとかには憧れていなかったんです。

だけど、一緒に働いていく仲間達が自分と同じように自由に働けないことへ息苦しさを感じているのに、なかなか踏み出せない状況でいることに気づいて。このままじゃ自分、仲間達にとっても良くないなと思って、独立する道を考えました。独立を考えたタイミングで、メンバーに「もし僕が独立するとしたらどうする?」と聞いたら、皆が「一緒にやってみたいです!」と言ってくれて、全員が付いてきてくれたんです。すごく嬉しかったですね。自分に付いてきてくれるメンバー全員がイキイキと働ける会社をつくりたいと思ったことを今でも強く覚えています。

ー多くの就労移行支援を行ってきた中で、特に印象に残っているエピソードはありますか?

野々村さんー乳業を営む牧場で就業体験をさせてもらった経験です。その利用者の方はプログラミングといったIT分野も得意としているんですが、生活の拠点は都会ではなく、自然に置きたいという価値観を持っている方でした。一次産業にも興味関心が高いことが支援する中で自覚できたので、将来的にITの利便性を一次産業にも取り入れることで、動物の幸福度「アニマルウェルフェア」を大切にしたいという素敵な考えを持たれていました。

ある方がその牧場の職業体験を受けることになったのですが、私も同行して一緒に職業体験を行ったんです。そこで気づいたのは、「実際にやってみないと分からないことはすごく多い」ということです。ひとえに牧場での仕事といっても、一日の流れや仕事の棲み分けは体験してみないと分からないですし、一つひとつの仕事は難しくないものだとしても、複数の仕事を組み合わせるとマルチタスクになってしまって優先順位の立て方が難しくなってしまうんです。

求職者さんの仕事の適性を細かく判断するために、サポートする立場である自分が仕事の中身を理解することは大切だなと改めて強く感じました。

ー会社立ち上げ後に感じている課題はありますか?

野々村さんー経営面での課題はまだまだたくさんあります。グロウサイドの社員は障がい者雇用のスペシャリストでしかなく、決してオールマイティではないんです。経営に対する知識もまだ浅いですし、グロウサイドを世の中に知ってもらうための広報・マーケティング戦略が弱いと思います。

ー会社として目指すビジョンについて教えてください

野々村さんー当社は、「人」そのものが商品であるという考えを持っています。多くの就労移行支援サービスは仕組みをアピールポイントとしていることが多いと思うのですが、当社は別の部分をアピールポイントとしていきたいと思っています。いかに質の高いサービスを行える人材を育てるか、というところにフォーカスを当てていきたいですね。

また、当社で育てた人員をSESのように企業様へ常駐させるサービスを開始しました。既に常勤でジョブコーチとして配置させていただいている企業様が1社おります。ジョブコーチと企業様の距離感を限りなく近づけることによって、今まで障がい者雇用へ力を入れられていなかった企業様をサポートできると考えています。

ー野々村さんの価値観について教えてください

野々村さんー『自由ってめちゃくちゃ大事』これが一番大切な価値観です。そして、自分の中で常にバランスを意識することですね。仏教の中でも、人間が健やかに生きるためにはバランスを保つことが大切と説かれているんです。いつどんな場所に行っても、自分がやりたいことに打ち込むことが人生を豊かにし、自分自身を好きになる生き方だと思います。

いつも自由な心でいるためには、柔軟であることが大事だと思っています。歳を重ねるごとにこだわりはどんどん捨てていきたいですね。どうしたら自分が、周りが楽しむことができるか?を常に考えていきたいです。

ー今後、野々村さんはどのように成長していきたいですか?

野々村さんーこれまでの人生を通して、自分自身の満足感はつくれるようになったと思います。これからは、従業員や雇用に悩む方々、そのご家族と周りにいる多くの方々が満足感を持って生きられるお手伝いをしていきたいです。より多くの方々に選択権は常に自分にあることに気付いてもらい、自分を好きになる選択をお手伝いをしていくための成長をしていきたいと思っています。

ー色々なお話を聞かせていただき、ありがとうございました!野々村さんのように枠にはまらず、自由な心を持って前へ進み続けられるように私もがんばります!

野々村さん、本日はありがとうございました!

写真【プロフィール】
株式会社Grow Side代表取締役
野々村翔

一部上場企業にて店舗運営、面接採用、人材育成、マネジメントなどの経験を経て同企業内特例子会社へ社内公募で異動し、障害者雇用を採用活動から企業内定着支援まで担当。その後、同企業内にて就労移行支援事業所を立ち上げ、ただ就職をサポートするだけでなく「価値観に沿った人生を歩む」ための支援により多くの就職者と高い定着率を実現する。現在は福祉サービスの枠に捉われない支援の実現を目指すために独立し「株式会社Grow Side」を設立し名古屋で就労移行支援事業所とコーチング事業を運営しつつ、浄土真宗本願寺派の副住職としても活動中。福祉・障害者雇用・仏教・心理学の知見を活かし、メンタルヘルスケアとコーチングと障害者支援を掛け合わせた価値観に沿った対人成長支援の実践している。

【Twitterアカウント】

・野々村翔

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